医療保険は本当に必要?公的保険(高額療養費制度)でカバーできるの?

保険

「日本には公的保険があるから、医療保険は不要」と考えていませんか?確かに、日本の公的医療保険制度は世界的に見ても優秀です。医療費の自己負担は最大3割に抑えられ、さらに「高額療養費制度」という強力なセーフティネットもあります。

しかし、実はこの制度でもカバーされない費用が存在します。福岡県民の実例をもとに、医療保険の本当の必要性を解説します。


この記事でわかること

✅ 日本の公的医療保険制度がカバーしている部分
✅ 高額療養費制度の仕組みと自己負担限度額
✅ 公的保険でカバーされない落とし穴(差額ベッド代・先進医療など)
✅ 医療保険が必要な人・不要な人の判定方法
✅ 福岡県民のリアルな事例から学ぶ医療保険の役割


日本の公的医療保険制度を理解する

自己負担3割の仕組み

日本は「国民皆保険制度」により、すべての国民が公的医療保険に加入しています。会社員であれば会社の健康保険、自営業者であれば国民健康保険に加入し、医療費の自己負担は最大3割に抑えられるのです。

具体例:総医療費が100万円かかった場合

  • 医療費全額:100万円
  • あなたの自己負担:30万円(3割)
  • 保険から給付:70万円(7割)

これだけでも十分に優遇されていますが、さらに「高額療養費制度」という強力な仕組みがあります。

高額療養費制度とは?

月の医療費が高額になると、「高額療養費制度」が自動的に機能し、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されます。この制度により、いくら医療費がかかっても月の負担が一定額に抑えられるのです。

年収別の自己負担限度額(69歳以下、2024年現在)

年収月間自己負担上限額
年収1,160万円以上約25万4,180円
年収770~1,160万円約16万7,400円
年収370~770万円約8万100円
年収370万円以下約5万7,600円

実際の計算例:年収500万円で総医療費100万円かかった場合

  • 3割負担の自己負担額:30万円
  • 高額療養費で上限額:約8万円
  • 実際の負担額:約8万円(残りの約22万円は返金される)

これはすごい制度ですね。つまり、年収500万円の人は月8万円を超える医療費の負担を避けられるということです。

待機時間に注意

ただし、高額療養費は「あとから返金」される仕組みです。つまり、一度は高額な費用を立て替える必要があります。

立て替えを避ける方法:「限度額適用認定証」の事前申請

あらかじめ医療費が高くなることが分かっていれば、加入している公的医療保険に申請して「限度額適用認定証」を取得しましょう。この認定証を病院に提示すれば、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられ、立て替える必要がなくなります。


高額療養費制度でカバーされない費用【落とし穴】

ここが重要です。日本の公的医療保険は非常に優秀ですが、いくつかの費用がカバーされません。これが医療保険が存在する理由です。

差額ベッド代(大きな落とし穴!)

入院する際、多くの人は「相部屋(大部屋)」を選びます。しかし、「個室」や「少人数部屋」を利用すると、差額ベッド代がかかります。この費用は公的医療保険では一切カバーされません。

差額ベッド代の相場(福岡県内医療機関の例)

  • 1人部屋:5,000~15,000円/日
  • 2人部屋:3,000~8,000円/日

月額で考えると

  • 1人部屋で月間(30日):最大45万円の追加費用
  • これは「高額療養費制度の対象外」です

先進医療・自由診療の技術料

「先進医療特約に加入しているから、高度な治療も安心」と思っていませんか?実は落とし穴があります。

通常の保険診療分(診察・検査・投薬・入院料など)は保険対象ですが、先進医療の技術料そのものは全額自己負担です。最新の治療技術は100万円を超えることもあります。

例:がんの免疫療法(自由診療の場合)

  • 1回の治療費:100万円~200万円
  • 複数回必要な場合も多い
  • すべて自己負担です

詳しくは「医療保険の落とし穴:先進医療・自由診療の費用負担」をご参照ください。

入院中のその他の費用

医療費以外にも、入院中にはさまざまな費用がかかります。これらはすべて自己負担です。

  • 入院時食事代:1食460円(1ヶ月で約13,800円)
  • テレビカード代:1,000~2,000円
  • 見舞い客への対応費:交通費やお返しなど
  • 洗濯代・新聞代:病院によって異なる

長期入院すると、これらの費用も積み重なります。


医療保険が必要な人の判定基準

では、医療保険は誰に必要なのでしょうか?

パターン1:貯蓄が100万円以下の人

公的医療保険の高額療養費制度は優秀ですが、月に8万円~25万円の負担が発生します。

3ヶ月入院した場合のシミュレーション

  • 高額療養費による月額負担:8万円(年収500万円の場合)
  • 3ヶ月分:24万円
  • 差額ベッド代(1人部屋):15,000円/日 × 90日 = 135万円
  • 合計負担:約159万円

貯蓄が100万円以下では対応不可能です。医療保険をおすすめします。

パターン2:先進医療や自由診療を選択肢に入れたい人

「最新の治療があれば、それを受けたい」と考える人は、先進医療特約付きの医療保険が必須です。

200万円を超える医療費が発生する可能性があり、これを自己資金だけで対応するのは困難です。

パターン3:入院リスクが高い人

以下に該当する人は、長期入院の可能性が高いため、医療保険が役に立ちます:

  • がん家系である
  • 糖尿病などの生活習慣病がある
  • 精神疾患(統合失調症やうつ病)の経験がある

特に精神疾患は平均入院日数が150~200日以上と長いため、医療保険による補てんが大きな力になります。詳しくは「医療保険の落とし穴:精神疾患の保障」をご参照ください。

医療保険が不要な人の判定基準

一方、医療保険が不要な人もいます。

パターン1:貯蓄が500万円以上ある人

高額医療費が発生しても、自己資金で対応できます。医療保険の保険料よりも貯蓄を優先した方が、経済的に効率的かもしれません。

パターン2:公的保険で十分と割り切れる人

  • 差額ベッド代は払わず、相部屋を選ぶ
  • 先進医療は選択しない
  • 自由診療も使わない

このように割り切れる人であれば、医療保険は不要です。

パターン3:所得が高い人

年収1,000万円以上の人は、高額療養費の自己負担上限額が高く設定されます。ただし、「差額ベッド代や先進医療への対応」としての医療保険は、検討の余地があります。


福岡県民のリアル事例3つ

では、実際の福岡県民がどのような医療費負担を経験したのか、3つの事例を紹介します。

ケース1:脳梗塞による長期入院

患者:50代男性(福岡県北九州市)
診断:脳梗塞
入院期間:45日
総医療費:300万円

医療費の内訳

  • 手術費:150万円
  • 検査・薬剤費:100万円
  • 入院料:50万円

自己負担額の計算

  • 本来の3割負担:90万円
  • 高額療養費制度適用 → 月8万円 × 5ヶ月(部分月を含む)
  • 実際の医療費負担:約9万円

ここだけ見ると、高額療養費制度で十分に対応できました。しかし、追加費用がありました。

差額ベッド代の負担

  • 個室(看護師からの推奨):10,000円/日
  • 45日間の利用:10,000円/日 × 45日 = 450,000円

医療保険に加入していなかった場合、この50万円は自己負担です。しかし、医療保険の入院給付金(日額10,000円)で、この費用がすべてカバーされました。

医療保険の価値:医療費は高額療養費で対応できても、差額ベッド代は全額自己負担。医療保険がこの部分をカバーしました。

ケース2:がん治療で先進医療を選択

患者:40代女性(福岡県福岡市)
診断:乳がん
選択治療:粒子線治療(先進医療)

医療費の内訳

  • 通常の乳がん手術:80万円
  • 高額療養費で実際の負担 → 約8万円に抑制
  • 先進医療(粒子線治療)の技術料:300万円

ここが重要です。先進医療の技術料300万円は、公的医療保険の対象外です。高額療養費制度の助成も受けられません。

医療保険がない場合:300万円の追加負担が必要

医療保険がある場合:先進医療特約により、この300万円がカバーされました

医療保険の価値:最新治療を選択する際に、医療保険が大きな役割を果たします。

ケース3:精神疾患による長期入院

患者:30代男性(福岡県久留米市)
診断:統合失調症
入院期間:180日(約6ヶ月)
総医療費:200万円

医療費の内訳

  • 入院料・検査・薬:200万円

自己負担額の計算

  • 高額療養費制度適用:月8万円 × 6ヶ月 = 48万円
  • 6人部屋(相部屋)の利用:3,000円/日 × 180日 = 540,000円
  • 合計負担:約58万円

6ヶ月の長期入院でも、公的制度で約58万円の負担に抑えられました。

しかし医療保険があると

  • 入院給付金(日額10,000円)× 180日 = 1,800,000円
  • 本来58万円の負担がほぼゼロになります

精神疾患は長期入院になるため、医療保険の出番となります。詳しくは「医療保険の落とし穴:精神疾患の保障」をご参照ください。


医療保険選びの3つのポイント

医療保険が必要と判断した場合、どのように選べば良いでしょうか?

ポイント1:入院給付金日額の決め方

考え方:高額療養費で対応できない部分をカバーする

年間500万円の年収であれば、高額療養費後の月額負担は約8万円。これを日数で割ると:

  • 月8万円 ÷ 30日 ≒ 2,667円/日

ただし差額ベッド代もカバーしたい場合は:

  • 差額ベッド代(相場):10,000円/日

おすすめの日額設定

  • 最低限:5,000円/日
  • バランス型:10,000円/日

ポイント2:必要な特約を選ぶ

医療保険には基本的な「入院給付金」の他に、さまざまな特約があります。あなたのリスクに応じて選択しましょう:

がん家系の人:がん特約

  • がんと診断されて一時金が支払われる
  • 手術給付金も充実

精神疾患が心配な人:精神疾患特約

  • 統合失調症やうつ病など、精神疾患での入院をカバー
  • 支払日数制限がない商品を選ぶ

最新治療を受けたい人:先進医療特約

  • 先進医療の技術料をカバー
  • 200万円を超える費用に対応

長期入院が心配な人:長期入院特約

  • 60日以上の入院を手厚くカバー
  • 精神疾患や脳血管疾患に有効

ポイント3:定期型 vs 終身型

定期医療保険(10年・15年)

メリット:

  • 加入時の保険料が安い
  • 若い年代で無駄なく加入できる

デメリット:

  • 更新時に保険料が2倍以上になる可能性
  • 長期加入すると、トータル保険料が高くなる

向いている人:若い年代で、将来的に見直す予定の人

終身医療保険

メリット:

  • 保険料が一生変わらない
  • 長期加入ほど割安になる

デメリット:

  • 加入時の保険料がやや高い
  • 不要になっても解約しにくい

向いている人:長期的に保障を確保したい人


まとめ:医療保険は必須ではないが、有効なリスク対策

医療保険は「すべての人に必須」ではありません。しかし、以下に該当する人には有効なリスク対策です:

✅ 貯蓄が100万円以下の人
✅ 差額ベッド代(個室利用)に対応したい人
✅ 先進医療・自由診療を視野に入れている人
✅ 入院リスクが高い人(がん、精神疾患など)

日本の公的医療保険制度は、世界的に見ても非常に優秀です。高額療養費制度により、月の医療費負担を一定額に抑えられます。しかし、完璧ではありません。差額ベッド代や先進医療費など、いくつかの費用が保障対象外です。

あなたの貯蓄、人生計画、医療ニーズに合わせて、医療保険の必要性を判断してください。

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執筆者プロフィール

独立系ファイナンシャルプランナー / 保険相談専門家
福岡県在住。年間300件以上の保険・資産運用相談を受け付け、顧客の「本当に必要な保障」を一緒に考えます。

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