医療保険の落とし穴②:入院の限度日数と180日以内の再入院

保険

「入院したら医療保険から給付金が出る」と思っていませんか?実は、入院給付金には様々な制限があり、「出ると思っていた給付金が出ない」というケースは珍しくありません。福岡県民の相談事例をもとに、入院給付金の落とし穴を徹底解説します。


  1. この記事でわかること
  2. 入院給付金に「支払限度日数」という落とし穴がある
    1. 「1入院あたり60日」「通算1,000日」の制限を知っていますか?
    2. 具体例:35日入院したのに5日分は給付されず
    3. 支払限度日数の設定は商品によって大きく異なる
  3. 「180日以内の再入院」が1回の入院として扱われる落とし穴
    1. 同じ病気で退院後、また入院した…そしたら給付金が出なかった
    2. 具体例:最初の入院30日 + 再入院50日 = 通算80日
    3. なぜこのようなルールがあるのか?
  4. 健康診断での入院は給付対象外
    1. 「健康診断で異常が見つかった」での入院は?
  5. 加入前から医師に入院を勧められていた場合は対象外
    1. 「責任開始日前」の約束された入院は給付されない
  6. 長期入院が必要な病気は保険選びが重要
    1. 入院日数が長い病気の平均入院日数
    2. あなたが加入している医療保険で確認すべきこと
  7. 福岡県民が実際に困った「入院給付金が出なかった」事例
    1. ケース1:30日の制限に気づかず35日入院した
    2. ケース2:2回目の入院で給付金が大幅に減額された
    3. ケース3:健康診断での入院で給付金が出ず
  8. 長期入院に備えるための対策
    1. 対策①:加入時に支払限度日数を確認する
    2. 対策②:入院日額の設定を考える
    3. 対策③:複数の医療保険の組み合わせを検討
    4. 対策④:公的保険制度を活用する
  9. 医療保険の見直しが必要な人
  10. まとめ:入院給付金で後悔しないために

この記事でわかること

✅ 入院給付金の「支払限度日数」とは
✅ 180日以内の再入院が「1回の入院」として扱われる理由
✅ 健康診断での入院が対象外になる理由
✅ 長期入院に備えるための対策


入院給付金に「支払限度日数」という落とし穴がある

「1入院あたり60日」「通算1,000日」の制限を知っていますか?

医療保険に加入する際、「入院給付金日額5,000円」「入院給付金日額10,000円」という金額に目が行きがちです。

しかし、実は重要な制限がもう一つあります。それが**「支払限度日数」**です。

ほとんどの医療保険には、以下のような制限が付いています:

  • 1入院あたりの支払限度日数:30日、60日、120日など
  • 通算支払限度日数:700日、1,000日、1,095日など

つまり、いくら長く入院しても、この日数を超えた分は給付されないということです。

具体例:35日入院したのに5日分は給付されず

福岡県在住・60代男性のケース

医療保険に加入しており、「1入院あたり60日」「通算1,000日」の制限が付いていました。

急性心筋梗塞で緊急入院し、35日間の入院を余儀なくされました。入院日額は10,000円だったため、「35日 × 10,000円 = 350,000円」の給付を期待していました。

しかし、実際には「30日 × 10,000円 = 300,000円」の給付しかありませんでした。

理由:加入している保険の「1入院あたりの支払限度日数が30日」だったため、31日目以降は給付対象外だったのです。

支払限度日数の設定は商品によって大きく異なる

保険商品のタイプ1入院あたりの限度日数通算支払限度日数
保険料が安い商品30日~60日700日~1,000日
標準的な商品60日~120日1,000日~1,095日
長期入院対応商品120日~360日1,095日以上

自分がどのタイプに加入しているか、知っていますか?


「180日以内の再入院」が1回の入院として扱われる落とし穴

同じ病気で退院後、また入院した…そしたら給付金が出なかった

医療保険の落とし穴の中でも、特に多いトラブルが「再入院」に関するものです。

医療保険では、以下のルールが一般的です:

「退院日の翌日から180日以内に、同じ病気を原因として再入院した場合、継続した1回の入院として扱われる」

つまり、最初の入院と再入院を合わせて1回の入院日数として計算されるのです。

具体例:最初の入院30日 + 再入院50日 = 通算80日

福岡県在住・50代女性のケース

乳がんの手術のため30日間入院しました。退院後、手術の経過観察のための追加治療が必要になり、2ヶ月後(退院後50日)に再度入院することになりました。

加入保険:「1入院あたり60日」の制限

期待していた給付金の計算

  • 1回目の入院:30日 × 10,000円 = 300,000円
  • 2回目の入院:50日 × 10,000円 = 500,000円
  • 合計:800,000円

実際の給付金

  • 1回目と2回目は「同じ乳がん」が原因で、180日以内の再入院だったため、1回の入院として扱われました
  • 合算すると80日間の入院
  • しかし、「1入院あたりの限度日数が60日」だったため、60日分しか給付されず
  • 実際の給付金:60日 × 10,000円 = 600,000円

期待していた額より200,000円も少ない結果に…

なぜこのようなルールがあるのか?

保険会社の論理としては:

  • 同じ原因による病気は「1回の医療イベント」として扱う
  • 退院と再入院の間隔が短い場合、実質的には「同じ入院」と見なす

ただし、この説明を受けていない加入者が多く、トラブルになるケースが多いのです。


健康診断での入院は給付対象外

「健康診断で異常が見つかった」での入院は?

医療保険の給付対象は「治療目的の入院」です。

健康診断や検査のみを目的とした入院は、給付対象外になることがほとんどです。

具体例

  • 人間ドックで検査入院した
  • 脳ドックの検査入院
  • 健康診断で異常が見つかり、追加検査のための入院

これらの場合、「治療を目的とした入院」ではなく、「検査・診断を目的とした入院」と判定されるため、給付対象外になります。


加入前から医師に入院を勧められていた場合は対象外

「責任開始日前」の約束された入院は給付されない

医療保険では、「責任開始日(保障が始まる日)」という概念があります。

ルール:「責任開始日より前に医師から入院を勧められていた場合、その入院は給付対象外」

これは保険会社による「逆選択(すでに分かっている病気を理由に保険に加入する)」を防ぐための制限です。

具体例

  • 医師から「今月中に手術しましょう」と言われていた
  • 医師から「来月入院が必要」と告知されていた
  • 既に入院日が決まっていた

このような場合、加入後に入院しても給付されない可能性が高いです。

加入時の告知書には「今後3ヶ月以内に、医師から入院や手術を勧められていないか」という質問がありますが、ここで正直に答える必要があります。


長期入院が必要な病気は保険選びが重要

入院日数が長い病気の平均入院日数

入院が長くなりやすい病気を知っていますか?

病名平均入院日数データ根拠
脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)約68.9日令和5年(2023)患者調査
統合失調症約150~200日以上令和5年(2023)患者調査
肺がん約10~15日手術治療中心(胸腔鏡下手術)
胃がん約19.2日平成29年(2017)患者調査
乳がん約11.5日平成29年(2017)患者調査
骨折約15~30日標準的統計
肺炎約10~20日標準的統計
精神疾患全般約100~150日以上令和5年(2023)患者調査
アルツハイマー病(認知症)約100日以上令和5年(2023)患者調査

あなたが加入している医療保険で確認すべきこと

医療保険を選ぶ際、ただ「給付限度日数」を見るだけでは不足です。

確認ポイント

  1. 1回の入院で最大何日まで給付されるか?
    • 例:1入院60日限度など
  2. その限度は「種類を問わず全てのがん」に適用されるか?
    • 例:「肺がんは対象だが、乳がんは対象外」という保険も存在
  3. 複数回の入院に対応しているか?
    • がん患者の多くは複数回入院・通院治療を受ける
    • 「1入院あたり60日」か「1年間で通算何日」かで大きく異なる

福岡県民が実際に困った「入院給付金が出なかった」事例

ケース1:30日の制限に気づかず35日入院した

相談者:60代男性

「月15,000円で入院給付金日額10,000円」という安い保険に加入していました。

急性心筋梗塞で35日間入院しましたが、「1入院あたりの支払限度日数が30日」という制限に気づいていませんでした。

結果として、5日分の給付金(50,000円)が出ませんでした。

教訓:安い保険には支払限度日数に制限がないか、必ず確認する

ケース2:2回目の入院で給付金が大幅に減額された

相談者:50代女性

乳がんの初回手術で30日入院。その後、追加治療で50日再入院。

最初は「2回 × 30日分」の給付を期待していましたが、「同じがんが原因の180日以内の再入院」として1回の入院として扱われ、支払限度日数(60日)により、2回目の入院は20日分しか給付されませんでした。

期待していた額:600,000円
実際の給付額:400,000円(200,000円の差)

教訓:複数回の入院が必要な病気の場合、支払限度日数の制限に注意

ケース3:健康診断での入院で給付金が出ず

相談者:40代男性

人間ドックで脳に小さな腫瘍が見つかり、確認検査のため2日間入院しました。

医療保険から給付金を請求したところ、「治療ではなく検査目的の入院」として却下されました。

教訓:検査・診断目的の入院は給付対象外。人間ドック結果後の追加検査も対象外の可能性がある


長期入院に備えるための対策

対策①:加入時に支払限度日数を確認する

医療保険を選ぶ際は、必ず以下を確認してください:

  • 1入院あたりの支払限度日数:最低でも60日、できれば120日以上
  • 通算支払限度日数:1,000日以上

特に脳血管疾患や精神疾患のリスクが高い場合は、より高い限度日数の商品を選びましょう。

対策②:入院日額の設定を考える

高い入院日額を選ぶのも一つの方法ですが、より大切なのは「支払限度日数」です。

例えば:

  • 「入院日額20,000円 × 30日」 = 600,000円
  • 「入院日額10,000円 × 120日」 = 1,200,000円

後者の方が、長期入院に対応できます。

対策③:複数の医療保険の組み合わせを検討

支払限度日数の制限を補うため、複数の医療保険に加入する方法もあります。

ただし、保険料が増えるため、ファイナンシャルプランナーと相談しながら検討することをお勧めします。

対策④:公的保険制度を活用する

長期入院の費用負担を軽減するため、以下の公的制度も活用しましょう:

  • 高額療養費制度:医療費が高額になったとき、自己負担額に上限がある
  • 傷病手当金(会社員の場合):病気で働けないときに給与の60%が補償される
  • 障害年金:重度の病気で働けなくなったとき、年金が受給できる

医療保険の見直しが必要な人

以下に該当する場合は、今すぐ医療保険を見直してください:

❌ 入院給付金の「支払限度日数」を知らない
❌ 1入院あたりの限度日数が30日以下
❌ 脳血管疾患や精神疾患のリスクが高いのに、限度日数が短い
❌ 複数回の入院が必要な病気について、給付条件を確認していない
❌ 加入して10年以上経っている(医療技術が進化しているため、見直しが必要)


まとめ:入院給付金で後悔しないために

医療保険の入院給付金には、見えない制限がいくつもあります。

🔴 支払限度日数を超えた分は給付されない
🔴 180日以内の再入院は1回の入院として扱われる
🔴 検査・診断目的の入院は対象外
🔴 加入前から決まっていた入院は対象外

自分の保険がこれらの制限にどう対応しているか、確認することが重要です。

わからないことがあれば、独立系FPに相談することをお勧めします。


執筆者プロフィール

独立系ファイナンシャルプランナー
福岡県在住。年間300件以上の保険・資産運用相談を受け付け、顧客の「本当に必要な保障」を一緒に考えます。

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