「うつ病で入院した場合、医療保険から給付金が出ない」という話を聞いたことはありませんか?実は、精神疾患に関する医療保険の保障は、他の病気と異なり、極めて複雑です。福岡県民が実際に経験した事例をもとに、精神疾患と医療保険の関係を詳しく解説します。
この記事でわかること
✅ うつ病・統合失調症での入院は給付される?
✅ 就業不能保険が精神疾患を対象外にする理由
✅ 精神疾患で保険に加入できない場合の対策
✅ 引受基準緩和型保険の活用法
うつ病などの精神疾患での入院給付金:基本的には給付される
「精神疾患は医療保険で給付されない」は半分正解で半分誤解
まず重要なポイント:うつ病などで入院した場合、医療保険の入院給付金は基本的には支払われます。
ただし、「給付されない場合もある」という複雑さがあります。
給付される条件:
- 医療保険に加入している
- 加入後に精神疾患を発症した
- 実際に入院している
- 支払限度日数以内の入院
給付されない可能性がある場合:
- 加入前に精神疾患で治療を受けていた
- 就業不能保険の場合(多くは精神疾患を対象外としている)
- 通院のみで入院していない
- 支払限度日数を超えている
精神疾患での長期入院:医療保険だけでは足りないことも
うつ病・統合失調症は他の病気より入院が長くなる
精神疾患での入院は、他の病気よりも長期化する傾向があります。
平均入院日数の比較:
| 病名 | 平均入院日数 |
|---|---|
| 通常の肺炎 | 約10~20日 |
| 脳梗塞 | 約90~120日 |
| 気分障害(躁うつ病を含むうつ病) | 約100~150日 |
| 統合失調症 | 約100~200日 |
| 骨折 | 約15~30日 |
ご覧の通り、精神疾患は他の病気よりも入院期間が長い傾向があります。
福岡県データ:
- 気分障害(躁うつ病を含む)の平均入院日数:約113日
- 全疾病平均入院日数:約32日
つまり、医療保険の「1入院あたり60日」という制限では、不足する可能性が高いのです。
就業不能保険が精神疾患を対象外にする理由
「仕事ができなくなった」をカバーする就業不能保険は?
うつ病で最も大きな問題は、実は「医療費」ではなく「収入の減少」です。
医療保険は「入院費用」をカバーしますが、自宅療養で仕事ができなくなった場合は対象外です。
そこで活躍するのが「就業不能保険」です。
しかし、ほとんどの就業不能保険は精神疾患を対象外としています。
なぜ精神疾患は対象外にされるのか?
理由は3つあります:
①症状を数値化できない
- 心筋梗塞:心電図で明確に判定できる
- うつ病:検査では判定しにくい
②回復時期が不確定
- 骨折:レントゲンで治癒を確認できる
- うつ病:「治った」という判定が曖昧
③再発リスクが高い
- 保険会社が長期給付のリスクを懸念
このため、保険会社は精神疾患を除外することで、リスク管理をしているのです。
就業不能保険で精神疾患が対象外になることの現実
福岡県在住・30代男性のケース
適応障害でうつ状態となり、3ヶ月間休職しました。
医療保険の入院給付金:0円(入院していないため)
就業不能保険:0円(精神疾患は対象外)
給与:休職期間は無給
収入が途絶える中、医療費と生活費を自己負担することになりました。
精神疾患で医療保険に加入できない場合がある
精神疾患があると通常の医療保険に加入できないことがある
医療保険に加入する際には「告知」という健康状態についての申告が必要です。
告知項目の一般的な例:
- 「現在、心療内科・精神科に通院していますか?」
- 「過去5年以内に精神疾患で治療を受けたことはありますか?」
このような質問に「はい」と答えると、通常の医療保険では加入が難しくなります。
精神疾患での加入が難しい理由
- 給付請求が多くなる可能性
- 長期入院のリスク
- 就業能力への影響
保険会社は「リスク」と判断して、加入を断ったり、条件付きで加入させたりするのです。
精神疾患でも入れる保険:引受基準緩和型・無選択型
通常の医療保険に入れない場合の選択肢
精神疾患がある人向けの保険として、以下の2つがあります:
①引受基準緩和型保険
特徴:
- 3~5問の簡単な告知のみ
- 現在、通院・入院していなければ加入可能
- 保険料は通常より高め(約20~30%割増)
告知項目の例:
- 「現在、医師の治療を受けていますか?」
- 「過去3ヶ月以内に医師の診察を受けていますか?」
福岡県での実例:
- うつ病で通院終了後、引受基準緩和型に加入
- 月額保険料:通常より3,000~5,000円高い
- ただし、将来的な給付に不安がある場合は有効
②無選択型保険
特徴:
- 告知がまったくない
- 誰でも加入可能
- 保険料は最も高い(通常の50~100%割増)
- 待機期間(90日程度)があり、その間の給付は対象外
使用場面:
- 引受基準緩和型にも加入できない
- 現在、精神科に通院中
- 症状が重い
福岡県民が実際に困った「精神疾患と医療保険」の事例
ケース1:うつ病で入院しても給付金が出なかった
相談者:40代女性
うつ病で2ヶ月間入院しました。
期待していた給付金:
- 入院給付金:60日 × 10,000円 = 600,000円
実際の給付金:
- 加入時に「過去3ヶ月以内の精神科受診」を隠していた
- 告知義務違反で給付金が支払われず:0円
医療保険は「告知」が重要です。ここで嘘をつくと、給付時に大きな問題になります。
ケース2:適応障害で自宅療養中、収入が途絶えた
相談者:30代男性
適応障害でうつ状態となり、3ヶ月の休職。
医療保険:入院していないため給付なし
就業不能保険:精神疾患は対象外のため給付なし
給与:休職中は無給
医療費はまだしも、生活費が深刻な問題に。
対応策:
- 傷病手当金の申請(給与の60%が支給される制度)
- 障害年金の相談
ケース3:うつ病で保険に加入できず、引受基準緩和型に加入
相談者:50代男性
統合失調症の治療履歴があり、通常の医療保険に加入できませんでした。
引受基準緩和型保険に加入:
- 月額保険料:15,000円(通常の医療保険より5,000円高い)
- 保障内容は通常と同じ
「割高だけど、加入できないよりはまし」という判断で加入。
精神疾患がある人が準備すべき対策
①医療保険:あれば有効だが、加入が難しい場合もある
もし通常の医療保険に加入できれば、長期入院に備えられます。
入院給付金日額の目安:
- 最低でも10,000円
- できれば支払限度日数が120日以上
②傷病手当金の理解
精神疾患で働けなくなった場合の最大の補償:
条件:
- 健康保険加入者
- 医師の診断書で働けないことが証明される
- 4日以上休職している
給付額:給与の約60%
給付期間:最大1年6ヶ月
会社員なら、この制度で生活をしのぐことが可能です。
③障害年金の活用
精神疾患で長期間働けない場合:
条件:
- 初診日から1年6ヶ月以上経過
- 日常生活や労働能力が著しく低下
給付額:月額約6万円~(等級による)
④貯蓄
最後の砦は貯蓄です。
精神疾患のリスクを考えると、最低でも6ヶ月分の生活費を貯蓄しておくことをお勧めします。
精神疾患での保険加入:注意すべき点
①必ず正直に告知する
保険加入時の告知は最も重要です。
隠すと:
- 後々給付金が支払われない
- 保険契約が解除される
②加入前に支払限度日数を確認する
精神疾患は長期入院になる傾向があるため、できれば:
- 1入院あたりの限度日数:120日以上
- 通算支払限度日数:1,000日以上
③精神疾患で対象外の特約を避ける
保険によっては「精神疾患は対象外」という特約が付いていることもあります。
加入前に必ず確認してください。
まとめ:精神疾患と医療保険の関係
精神疾患と医療保険は、複雑な関係にあります。
🔴 入院給付金は基本的には給付される(ただし告知が重要)
🔴 就業不能保険は精神疾患を対象外にすることが多い
🔴 精神疾患があると通常の医療保険に加入できない場合がある
🔴 医療保険だけでなく、傷病手当金や障害年金の活用が重要
精神疾患がある場合は、医療保険だけに頼らず、公的保障制度と組み合わせることが重要です。
執筆者プロフィール
独立系ファイナンシャルプランナー
福岡県在住。年間300件以上の保険・資産運用相談を受け付け、顧客の「本当に必要な保障」を一緒に考えます。



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