「先進医療特約に加入しているから、高度な治療も安心」と思っていませんか?実は、先進医療も自由診療も、多くの費用が自己負担になります。福岡県民が実際に経験した事例をもとに、先進医療・自由診療の落とし穴を詳しく解説します。
この記事でわかること
✅ 先進医療とは何か、費用はどれくらい?
✅ 先進医療特約の意外な制限
✅ 自由診療を選んだときの全額自己負担リスク
✅ 混合診療が禁止されている理由
先進医療とは:高度な医療技術の将来の保険化を評価する制度
先進医療は「保険診療の前段階」
「先進医療」という言葉をよく聞きますが、実はこの言葉の定義は曖昧です。
医学的な意味:「最新の医療技術」全般
保険用語としての意味:「厚生労働大臣が認定した、実績がある高度医療技術」
医療保険で議論する「先進医療」は、後者の意味です。
先進医療の役割
先進医療制度は:
- 効果が期待される新しい医療技術を
- 患者が希望すれば受けられるようにしながら
- 将来的に保険診療に組み込むかどうかを判断する ための制度です
つまり、先進医療で実績を積み、効果が証明されたら、やがて保険診療になる、という流れです。
先進医療にかかる費用:先進医療の技術料は全額自己負担
先進医療の費用負担の仕組み
先進医療を受けた場合、費用負担は複雑に分かれます:
先進医療にかかる技術料:全額自己負担(保険なし)
通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料など):保険適用
具体例:先進医療での費用負担
総医療費が300万円、先進医療の技術料が100万円だった場合:
| 項目 | 金額 | 負担方法 |
|---|---|---|
| 先進医療技術料 | 100万円 | 全額自己負担 |
| 通常治療部分 | 200万円 | 3割負担で60万円 |
| 患者の自己負担合計 | 160万円 |
つまり、患者は100万円+60万円=160万円の自己負担が発生するのです。
福岡県で実施されている先進医療の例と費用
2025年現在、福岡県内で実施されている先進医療(実例):
| 先進医療 | 対象疾患 | 技術料(概算) |
|---|---|---|
| 遺伝子パネル検査 | がん | 30~50万円 |
| ロボット支援手術 | 前立腺がん・膵臓がん | 150~300万円 |
| 多焦点眼内レンズ | 白内障 | 50~100万円 |
| 陽子線治療 | がん | 250~300万円 |
ご覧の通り、数百万円の費用が発生する先進医療も珍しくありません。
先進医療特約の落とし穴
先進医療特約があれば安心…は大きな誤解
多くの医療保険に「先進医療特約」が付いています。
先進医療特約の内容:
- 先進医療にかかった技術料の給付金が出る
- ただし、同じ厚生労働省認定の医療施設での治療が条件
先進医療特約の制限
①医療施設が限定されている
先進医療は、厚生労働省が指定した医療施設でしか受けられません。
全国で約300の医療施設のみが実施しており、地方では限定的です。
福岡県内の先進医療実施施設(実例):
- 大学病院(九州大学病院、福岡大学病院など)
- がん専門病院(九州がんセンターなど)
- 特定機能病院
つまり、自分の街の近所の病院では、先進医療を受けられない可能性が高いのです。
②技術料の上限設定
先進医療特約の給付金は、先進医療の技術料全額ではなく、「厚生労働省が定めた標準的な費用」が給付額の上限です。
実際の費用がそれを超えた場合、差額は患者負担です。
③対象となる医療が限定されている
先進医療の中でも、特約で対象となる医療は限定されています。
自分が受ける予定の医療が対象かどうか、事前に確認が必須です。
自由診療を選んだときの費用負担:全額自己負担の現実
「保険診療では治療法がない」「より効果の高い治療を受けたい」:自由診療の現実
保険診療では対応できない場合、患者は自由診療を選ぶことがあります。
例えば:
- 未承認の抗がん剤を使いたい
- 国内未認可の治療法を受けたい
- 保険診療より効果が高いと言われる治療を受けたい
この場合、医療費は全額自己負担です。
自由診療の費用例
| 治療法 | 対象疾患 | 費用 |
|---|---|---|
| 未承認抗がん剤 | がん | 月50~200万円 |
| 陽子線治療(自由診療) | がん | 300~400万円 |
| 樹状細胞療法 | がん | 200~300万円 |
| 高度な遺伝子治療 | 難病 | 数百万円~ |
福岡県在住・50代男性のケース
進行性の肺がんと診断されました。
保険診療:抗がん剤A(効果が限定的と医師が判断)
自由診療:未承認の抗がん剤B(より効果が期待できると医師が説明)
自由診療を選んだ場合の費用:月150万円 × 12ヶ月 = 1,800万円
医療保険からの給付:0円(自由診療は保険対象外)
混合診療が禁止されている理由
「保険診療と自由診療を混ぜたい」が原則禁止なのはなぜ?
患者の希望としては「保険診療でカバーできる部分は保険で、最新治療は自由診療で」という選択をしたいですよね。
しかし、日本では混合診療は原則禁止です。
混合診療禁止のルール
一度自由診療を受けると:
- その病気に関する全ての治療が自由診療になる
- 保険診療部分も含めて全額自己負担
具体例:
進行がんで:
- 保険診療の抗がん剤A:月10万円(3割負担で3万円)
- 自由診療の抗がん剤B:月150万円
患者が「抗がん剤Bだけ自由診療で受けたい」と思った場合:
- 抗がん剤A部分も含めて全て自由診療扱い
- 自己負担:160万円/月(10万円+150万円)
つまり、自由診療を選ぶと、保険診療よりも遥かに高い費用負担になるのです。
なぜ混合診療は禁止されているのか?
保険制度を守るため:
- 効果が確実でない治療が横行する危険性
- 患者が不必要な自由診療を強要される危険性
- 医療費の無制限増加
先進医療と自由診療の違い
先進医療と自由診療は全く異なる制度
この2つは混同されることが多いですが、実は全く異なります:
| 項目 | 先進医療 | 自由診療 |
|---|---|---|
| 認定者 | 厚生労働大臣 | 医師個人の判断 |
| 施設 | 指定施設のみ | どこでも可能 |
| 効果の実績 | 実績がある | 不確定なことも |
| 費用の透明性 | 標準価格あり | 医師が自由に設定 |
| 混合診療 | 例外的に認められる | 禁止(全て自費) |
| 給付金 | 先進医療特約で対応可能 | 対応不可 |
福岡県民が実際に困った「先進医療・自由診療」の事例
ケース1:先進医療の技術料が予想より高かった
相談者:60代男性
がんで先進医療(陽子線治療)を受けることになりました。
先進医療特約に加入していたため、「費用は心配ない」と思っていました。
実際の費用:
- 陽子線治療の標準技術料:250万円
- 実際の費用:300万円(特殊な照射方法のため)
- 先進医療特約で給付される額:250万円
- 患者の自己負担:50万円+通常治療部分の自己負担
先進医療特約があっても、完全にはカバーできないことに驚きました。
ケース2:自由診療を選んだら、全て自費になった
相談者:40代女性
進行性の卵巣がんと診断。
医師から「保険診療の抗がん剤は効果が限定的。未承認の抗がん剤なら効果が期待できる」と説明されました。
未承認抗がん剤を自由診療で選択:
- 費用:月150万円
- 医療保険からの給付:0円
- 治療期間:1年
- 総自己負担額:1,800万円
貯蓄を使い果たしてしまいました。
ケース3:混合診療を勧められて困った
相談者:50代男性
がん治療で、医師から「より効果的な治療法がある」と勧められました。
それは「保険診療の抗がん剤+自由診療の併用治療」でした。
患者は「保険診療だけで治療してほしい」と言いましたが、医師は「この方法が最適」と一方的に説明。
結果として、混合診療扱いになり、保険診療部分も全て自費になってしまいました。
先進医療・自由診療に備えるための対策
①先進医療特約の活用
先進医療特約は、限定的でも有効です。
選ぶポイント:
- 先進医療技術料の給付金が十分か
- 給付対象となる医療の範囲
- 特約の保険料(通常は月100~300円)
②自由診療に備える貯蓄
自由診療は医療保険でカバーできません。
万が一に備えて:
- 300~500万円の貯蓄を目安に
- 生活費とは別に確保
③セカンドオピニオンの活用
自由診療を勧められたら:
- 複数の医師の意見を聞く
- 本当に必要かを検討
- 保険診療との違いを理解
④患者申出療養の活用
比較的新しい制度として「患者申出療養」があります。
これは:
- 保険診療と最先端医療の併用が認められる
- 先進医療より申請期間が短い
- 自由診療より患者負担が小さい
医師に相談してみる価値があります。
先進医療・自由診療での保険選びのポイント
①先進医療特約は必要か?
必要な人:
- 大学病院など先進医療施設に通える
- 効果が期待できる先進医療がある
- 貯蓄が十分ではない
不要な人:
- 近所に先進医療施設がない
- 利用する可能性が低い
- 十分な貯蓄がある
②医療保険の給付限度額
医療保険だけでは対応できない医療費も多いため、以下の対策を:
- 生活費とは別に医療費用として500万円の貯蓄
- 家族に対する支援制度の確認
- 公的支援制度の理解
まとめ:先進医療・自由診療で後悔しないために
先進医療・自由診療は、高度な医療を受けられる一方で、多大な費用がかかります。
🔴 先進医療の技術料は全額自己負担
🔴 先進医療特約があってもカバーできないことがある
🔴 自由診療を選ぶと、保険診療部分も全て自費になる可能性
🔴 混合診療は原則禁止
医療保険だけに頼らず、十分な貯蓄と公的支援制度の理解が重要です。
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執筆者プロフィール
独立系ファイナンシャルプランナー / 保険相談専門家
福岡県在住。年間300件以上の保険・資産運用相談を受け付け、顧客の「本当に必要な保障」を一緒に考えます。



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