福岡市のマンション市場、この5年間の激変
2020年から2025年にかけて、福岡市の分譲マンション価格は大きな変動を見せています。コロナ禍、金融政策の転換、人口動態の変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、福岡の住宅市場に影響を与えてきました。
この記事では、福岡市における分譲マンション価格の5年間の推移を詳しく解説し、購入を検討している方や投資家の方に役立つ情報をお届けします。
2020年:コロナ禍前後の価格動向
2020年初頭、福岡市の新築分譲マンション平均価格は約3,200万円台で推移していました。この時期、福岡市は「住みやすい都市ランキング」で常に上位にランクインし、人口流入が続いていたため、マンション需要は堅調でした。
しかし、2020年春以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、一時的に市場が停滞。販売現場への来場者数が減少し、成約率も低下しました。それでも価格そのものは大きく下落せず、むしろ下支えされる形となりました。
2020年の特徴
- 平均価格:約3,200万円
- 平均㎡単価:約55万円
- 市場の特徴:コロナ禍による一時的な停滞、テレワーク需要の芽生え
2021年:回復と上昇トレンドの始まり
2021年に入ると、低金利政策の継続とテレワークの普及により、住宅需要が急速に回復。特に「広さ」を求める購買層が増加し、3LDK以上の物件が人気を集めました。
平均価格は約3,800万円と前年から約19%上昇。福岡市中心部へのアクセスが良好で、かつ広めの間取りを提供できる博多区、中央区周辺のマンションが注目を集めました。
2021年の特徴
- 平均価格:約3,800万円(前年比約19%上昇)
- 平均㎡単価:約62万円
- 市場の特徴:テレワーク需要、広さ重視の傾向
2022年:建築コスト高騰の影響
2022年は、ウッドショックや資材価格の高騰が本格化。建築コストの上昇が販売価格に転嫁され、新築マンション価格が大きく上昇しました。平均価格は約4,500万円と、前年から約18%上昇しました。
一方で、中古マンション市場も活況を呈し、築浅物件を中心に取引が活発化。新築との価格差が縮まる現象も見られました。
2022年の特徴
- 平均価格:約4,500万円(前年比約18%上昇)
- 平均㎡単価:約72万円
- 市場の特徴:建築コスト高騰、中古市場の活性化
2023年:高価格帯への本格シフト
2023年は、福岡市のマンション価格が一段と上昇。特に天神地区の再開発プロジェクトや博多駅周辺の大型開発が進展し、都心部の地価が上昇したことが価格を押し上げました。
平均価格が約5,000万円に迫り、都心部の中央区では6,000万円を超える物件も珍しくなくなりました。購入層の二極化が進行し、高額物件と郊外の比較的手頃な物件とで、市場が分かれる傾向が顕著になりました。
2023年の特徴
- 平均価格:約4,900万円(前年比約14%上昇)
- 平均㎡単価:約74万円
- 市場の特徴:都心再開発効果、購入層の二極化
2024年:金利上昇懸念と驚異的な価格高騰
2024年は福岡市のマンション価格が驚異的な上昇を見せた年となりました。平均価格は約5,800万円と、前年から約12%、2020年からは実に81%もの上昇を記録。この上昇率は首都圏、近畿圏、主要地方都市の中で全国トップクラスとなりました。
日銀の金融政策正常化への動きが本格化し、長期にわたって続いていた超低金利政策の転換が現実味を帯びる中での価格高騰は、市場関係者を驚かせました。特に中央区や博多区では、1億円を超える高級マンションの供給が増加し、平均価格を押し上げる要因となりました。
2024年の特徴
- 平均価格:約5,800万円(前年比約12%上昇、2020年比+81%)
- 平均㎡単価:約82万円
- 市場の特徴:全国トップクラスの上昇率、高級物件の増加、金利上昇懸念
2025年:現在の市場状況
2025年現在、福岡市の分譲マンション市場は高値圏での推移が続いています。2024年の上昇の反動もあり、価格上昇ペースは鈍化していますが、依然として5,800万円前後の高水準を維持しています。
住宅ローン金利の上昇が現実のものとなり、購買層の慎重姿勢が強まっています。一方で、福岡市の人口増加トレンドは継続しており、長期的な需要基盤は依然として堅固。価格は高止まりしているものの、立地条件の良い物件には引き続き需要があります。
2025年の特徴
- 平均価格:約5,800万円(横ばい)
- 平均㎡単価:約82万円
- 市場の特徴:高値圏での推移、金利上昇の影響、立地重視の傾向
エリア別の価格推移傾向
福岡市7区別マンション価格推移一覧表(2020-2026年予測)
| 区名 | 2020年平均 | 2022年平均 | 2024年平均 | 2026年予測 | 6年間の上昇率 | 平均㎡単価(2024年) | 主な間取り |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中央区 | 4,500万円 | 6,500万円 | 8,500万円 | 9,000万円 | +100% | 110万円 | 2LDK~3LDK(60-75㎡) |
| 博多区 | 3,800万円 | 5,500万円 | 7,200万円 | 7,500万円 | +97% | 100万円 | 2LDK~3LDK(55-70㎡) |
| 早良区 | 3,200万円 | 4,800万円 | 6,000万円 | 6,300万円 | +97% | 85万円 | 3LDK(65-75㎡) |
| 南区 | 3,000万円 | 4,200万円 | 5,200万円 | 5,500万円 | +83% | 78万円 | 3LDK(60-70㎡) |
| 東区 | 2,900万円 | 4,000万円 | 5,000万円 | 5,300万円 | +83% | 75万円 | 3LDK(60-70㎡) |
| 城南区 | 3,100万円 | 4,300万円 | 5,300万円 | 5,600万円 | +81% | 80万円 | 3LDK(60-70㎡) |
| 西区 | 2,700万円 | 3,700万円 | 4,700万円 | 5,000万円 | +85% | 72万円 | 3LDK~4LDK(65-75㎡) |
| 福岡市平均 | 3,300万円 | 4,700万円 | 6,000万円 | 6,300万円 | +91% | 86万円 | 3LDK(65㎡前後) |
※2026年の価格は市場動向から予測した参考値 ※新築マンション価格を基準としたデータ
※中央区・博多区の都心部では7000万円〜1億5,000万円超の物件も多数
各区の特徴と価格動向
中央区
福岡の中心地として、最も高い価格帯を維持。天神再開発の進展により、2020年比で約100%の価格上昇を記録。都心居住志向の高所得層やDINKS世帯から根強い人気があり、2024年には平均8,500万円、高級物件では1億5,000万円〜2億円を超える物件も続々と登場しています。薬院・赤坂・大濠公園エリアは特に人気が高く、供給不足の状態が続いています。
博多区
博多駅周辺は交通利便性の高さから人気が継続。新幹線・空港アクセスの良さが評価され、2020年比で約97%の価格上昇。「博多コネクティッド」再開発プロジェクトの進展により、今後もさらなる価格上昇が期待されるエリアです。ビジネス需要と居住需要の両方が旺盛で、7,000万円〜9,000万円が標準的な価格帯となっています。
早良区
西新・藤崎エリアを中心に、ファミリー層からの支持が厚い。教育環境の良さと利便性のバランスが評価され、2020年比で約97%の価格上昇。百道浜など高級住宅街も擁し、安定した需要が続いています。5,500万円〜7,000万円台の物件が中心ですが、海沿いの高級物件は1億円を超えることも。
南区
大橋・高宮エリアを中心に、都心へのアクセスの良さが再評価され、2020年比で約83%の価格上昇。西鉄天神大牟田線沿線の利便性が高く評価されています。3LDKで5,000万円〜6,000万円が相場となっており、以前のような「お手頃価格」のイメージは完全に過去のものとなっています。
東区
香椎・千早エリアなどの海側地域が人気。JR・地下鉄の利便性向上により、2020年比で約83%の価格上昇。ファミリー層の新規流入が続き、今後も堅調な推移が予想されます。5,000万円前後が中心価格帯で、アイランドシティなどの人気エリアではさらに高額な物件も増加しています。
城南区
福岡大学周辺や七隈線沿線の開発が進展。天神南延伸効果もあり、2020年比で約81%の価格上昇。学生街から住宅街へのイメージ転換が進み、ファミリー層の関心も高まっています。5,000万円〜5,500万円が標準的な価格帯となっており、利便性の向上とともに価格も大幅に上昇しました。
西区
姪浜・橋本エリアを中心に、地下鉄沿線の利便性が評価され、2020年比で約85%の価格上昇。郊外志向のファミリー層に人気で、福岡市内では比較的購入しやすい価格帯を維持していますが、それでも4,500万円〜5,000万円台が相場となっています。今後も安定した需要が見込まれます。
5年間の総括:何が価格を動かしたか
福岡市の分譲マンション価格を動かした主な要因は以下の通りです。
- 低金利政策の継続(2020-2023):住宅ローンの借りやすさが需要を下支え
- 建築コストの高騰(2021-2024):資材価格上昇が販売価格に大きく転嫁
- 都心再開発の進展(継続中):天神ビッグバン・博多コネクティッドによる地価上昇
- 人口流入の継続(継続中):福岡市の魅力が旺盛な需要を創出
- 高級物件の増加(2023-2024):1億円超のマンション供給が平均価格を押し上げ
- 投資需要の拡大:円安による海外投資家の参入
- 金融政策の転換(2024-):金利上昇が市場心理に影響し始める
特に2024年の前年比40.1%という上昇率は、首都圏や近畿圏を上回り全国トップとなりました。これは天神・博多の再開発効果と高級物件供給の増加が重なった結果といえます。
今後の見通し:2025年以降の福岡マンション市場
今後の福岡市マンション市場を考える上でのポイントは以下の通りです。
上昇要因
- 福岡市の人口増加トレンドの継続
- 都心再開発プロジェクトの完成(2025-2030年)
- インバウンド需要の回復と投資需要
下落リスク要因
- 住宅ローン金利のさらなる上昇
- 建築コストの高止まり
- 購買層の所得上昇が価格上昇に追いつかない
購入を検討している方へのアドバイス
福岡市でマンション購入を検討している方は、以下の点に注意しましょう。
- 金利動向のチェック:変動金利から固定金利への切り替えタイミングを慎重に判断
- 立地の重要性:価格が高騰している今こそ、立地の良さが資産価値維持の鍵
- 中古市場の活用:新築にこだわらず、築浅中古も選択肢に
- 長期的な資金計画:金利上昇を想定した返済計画を
- 専門家への相談:ファイナンシャルプランナーなど専門家のアドバイスを活用
まとめ
福岡市の分譲マンション価格は、2020年から2024年の4年間で約82%上昇し、2024年には全国主要都市の中でトップクラスの上昇率を記録しました。コロナ禍、建築コスト高騰、金融政策の転換、そして都心再開発など、さまざまな要因が複合的に作用した結果です。
現在の福岡市では、郊外の南区・東区・西区でも5,000万円前後、都心部の中央区・博多区では7,000万円〜1億円超が標準的な価格帯となっており、4,000万円以下で新築マンションを購入することはほぼ不可能な状況です。「福岡は東京に比べて安い」というイメージは完全に過去のものとなりました。
今後は金利上昇の影響を受けつつも、福岡市の持つポテンシャル(人口増加、都心再開発の進展)から一定の需要は維持されると予想されます。マンション購入を検討している方は、価格動向だけでなく、自身のライフプランと資金計画を総合的に考慮することが重要です。
福岡市でのマンション購入や住宅ローン、資産形成についてお悩みの方は、地域に精通したファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。
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執筆者プロフィール
独立系ファイナンシャルプランナー / 不動産エージェント
福岡在住20年以上。中立的な立場から、不動産・保険・資産運用の相談を受け付けています。



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