医療保険の落とし穴③:歯科治療と通院給付金

保険

「医療保険に入ってるから、歯の治療費も一部補償される」と思っていませんか?実は、ほとんどの医療保険は歯科治療に対応していません。さらに、通院給付金にも大きな制限があります。福岡県民が実際に困った事例をもとに、歯科治療と通院給付金の落とし穴を解説します。


この記事でわかること

✅ 医療保険が歯科治療に対応しない理由
✅ 保険診療と自由診療の線引き
✅ インプラント・ホワイトニング・矯正は全額自己負担
✅ 通院給付金の意外な制限


医療保険は歯科治療にほぼ対応していない

「医療保険だから歯の治療も補償される」は大きな誤解

多くの人が「医療保険に加入しているから、病気やケガの治療は幅広く補償される」と思っています。

しかし、歯科治療は医療保険の給付対象外です。

なぜでしょうか?主な理由は:

①医療保険は「入院・手術」が主な給付対象

  • 医療保険は、入院時の生活費や手術費用をカバーするもの
  • 歯科治療は、ほとんどが外来(通院)で完結するため、対象外

②虫歯は「病気」ではなく「予防できる疾患」

  • 健康保険制度でも、虫歯予防は保険外扱い
  • 医療保険も同じ考え方で、虫歯治療後の予防処置は対象外

③歯科治療の自由診療の範囲が広い

  • インプラント、ホワイトニング、矯正など自由診療が多い
  • 保険診療と自由診療が混在するため、保険会社が対応しづらい

歯科治療で「保険診療」と「自由診療」に分かれる理由

公的健康保険との関係:保険診療と自由診療の違い

歯科治療には、公的健康保険の対象となる「保険診療」と、対象外の「自由診療」があります。

保険診療の範囲

対象となる治療

  • 虫歯の治療(金属詰め物・銀歯)
  • 歯周病の治療
  • 簡単な抜歯
  • 入れ歯(基本的な形)

自己負担:3割(70才以下)

自由診療(保険外診療)

対象となる治療

  • インプラント(人工歯根):1本30~60万円
  • ホワイトニング:5~30万円
  • 歯列矯正(成人):60~120万円
  • セラミック・ジルコニア製の詰め物や被せ物
  • 高度な矯正治療
  • ノンクラスプデンチャー(金属を使わない入れ歯)

自己負担:10割(全額自費)

なぜインプラントやホワイトニングは保険外なのか?

インプラント

  • 公的医療保険では「インプラント」と「入れ歯」の2択
  • インプラントは「より高度な治療」として自由診療扱い
  • ただし、先天性の歯欠損など特定の条件では保険適用される場合もある

ホワイトニング

  • 「治療」ではなく「美容目的」と判定される
  • 公的医療保険が適用されないため、医療保険も対応しない

歯列矯正

  • 成人の矯正は「美容目的」と判定される
  • ただし、骨格異常など医学的に必要と判定される場合は、部分的に保険適用される可能性がある

福岡県民が実際に困った「歯科治療」の事例

ケース1:親知らずの抜歯で医療保険の対応が異なった

相談者:30代男性

親知らずの抜歯が必要になりました。

一般的な抜歯(日帰り):

  • 医療保険の対象外(「軽微な手術」と判定)
  • 公的健康保険で3割負担、自己負担は2,000~5,000円程度

埋伏歯(埋没している歯)の抜歯(入院が必要な場合):

  • 医療保険の対象になる可能性がある
  • 入院が伴う場合は、入院給付金や手術給付金の対象になることもある

この相談者は「入院なし」の単純な抜歯だったため、医療保険の給付対象外でした。

教訓:歯科治療のうち、医療保険の対象になるのは、実は限定的です。ほとんどは公的健康保険で対応

ケース2:セラミック詰め物に100万円以上かかった

相談者:40代女性

奥歯の虫歯治療で、セラミック製の詰め物を勧められました。

保険診療(銀歯)の場合

  • 費用:5,000~10,000円程度
  • 自己負担:3割

自由診療(セラミック)の場合

  • 費用:50,000~100,000円
  • 自己負担:10割

この患者は医療保険の給付を期待していましたが、「セラミックは自由診療」として全額自己負担でした。

複数本の治療で合計100万円以上の費用が発生。医療保険からは1円も支払われませんでした。

教訓:歯科医院で「セラミック」や「高度な矯正」を勧められたら、まず「保険診療の選択肢」を確認してください

ケース3:インプラント治療で医療保険は対象外、でも医療費控除は対象に

相談者:50代女性

歯周病で複数の歯を失い、インプラント治療を受けました。

総費用:600万円
医療保険からの給付:0円(自由診療のため)
医療費控除の対象:一部対象

実は、インプラント治療は医療保険では対象外ですが、公的な「医療費控除」の対象になる場合があります。

ただし、「治療目的」と判定されることが条件なので、審査が厳しく、全額が対象になることは稀です。

教訓:医療保険は対象外でも、医療費控除の対象になる可能性を探ることが重要


通院給付金の落とし穴

多くの医療保険では「入院後の通院」のみが対象

医療保険に「通院給付金」が付いているから、毎月の歯科通院も補償されると思ったら大間違いです。

通常の通院給付金の条件

  • 「入院後の通院」が対象
  • 入院なしで通院だけした場合は対象外
  • 退院後120日以内の通院が対象となる商品が多い

つまり:

  • 定期的な虫歯治療の通院 → 対象外
  • リハビリのための通院 → 入院に伴う場合のみ対象
  • 骨折後の通院治療 → 入院に伴う場合のみ対象

具体例:通院給付金があるのに使えなかった

相談者:60代男性

医療保険に「通院給付金」が付いていたため、「骨折治療の通院も補償される」と思いました。

実際に転んで足の骨を折り、入院せずに外来で治療を続けることになりました。

約3ヶ月間、週2~3回通院しましたが、「入院を伴わない通院」のため、通院給付金は1円も支払われませんでした。

教訓:「通院給付金」は見かけ以上に制限がある


保険診療と自由診療の「混合診療」は認められない

「自由診療を選んだら、保険診療部分も自費になる」という落とし穴

歯科治療では時々「保険診療と自由診療を混ぜて治療したい」という希望が出ます。

例えば:

  • 前歯:セラミック(自由診療)
  • 奥歯:銀歯(保険診療)

このような「混合診療」を選ぶと、実は保険診療部分も全額自費(自己負担)になってしまいます。

ルール:自由診療を1つ選ぶと、その治療に関連する部分の保険診療も全て自費扱いになる

つまり、セラミック詰め物で前歯を治療すると、その前歯に関わる診察や検査も全て自費になるのです。


歯科医院選びのポイント

福岡は保険診療と自由診療の両方を提供する歯科医院が多い

福岡には、保険診療と自由診療の両方に対応した歯科医院が多くあります。

歯科医院を選ぶ際のポイント:

事前に確認すべきこと

  • 保険診療の扱い(保険診療を基本としているか)
  • 自由診療の費用(明確な価格表示があるか)
  • 保険診療か自由診療かの選択肢の説明があるか

NG例

  • 「セラミックにしましょう」と一方的に勧める
  • 保険診療の選択肢を提示しない
  • 費用について詳しい説明がない

医療保険と歯科治療費:本当に必要な備えは?

医療保険では歯科治療はカバーできない

医療保険で歯科治療をカバーできないため、以下の方法で対策しましょう:

①貯蓄で備える

虫歯治療は予防できます。定期的なメンテナンスで大きな治療を避けることが重要です。

一般的な歯科治療費

  • 虫歯治療:5,000~30,000円
  • インプラント:30~60万円/本
  • 矯正:60~120万円

月5,000円程度の貯蓄で、緊急時にも対応できます。

②医療費控除を活用する

年間の医療費が10万円を超えた場合、医療費控除を申告することで、所得税の還付を受けられます。

対象となる可能性のある歯科治療:

  • 虫歯・歯周病の治療
  • 矯正治療(医学的に必要と判定された場合)
  • インプラント(治療目的と判定された場合)

対象外の歯科治療:

  • ホワイトニング(美容目的)
  • 成人の矯正(多くの場合、美容目的と判定)

③歯科医院での定期メンテナンス

「予防」に勝る対策はありません。

3ヶ月ごとのクリーニングと定期検診で、虫歯や歯周病の早期発見が可能です。


まとめ:医療保険では歯科治療はカバーできない

医療保険の落とし穴の中でも、特に大きいのが「歯科治療」です。

🔴 医療保険は歯科治療に対応していない
🔴 インプラント・ホワイトニング・矯正は全額自費
🔴 自由診療を選ぶと、保険診療部分も自費になる可能性
🔴 通院給付金は「入院後の通院」のみが対象

歯科治療は医療保険ではなく、公的健康保険と貯蓄で対応することが基本です。


執筆者プロフィール

独立系ファイナンシャルプランナー
福岡県在住。年間300件以上の保険・資産運用相談を受け付け、顧客の「本当に必要な保障」を一緒に考えます。

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