「医療保険に入ってるから、歯の治療費も一部補償される」と思っていませんか?実は、ほとんどの医療保険は歯科治療に対応していません。さらに、通院給付金にも大きな制限があります。福岡県民が実際に困った事例をもとに、歯科治療と通院給付金の落とし穴を解説します。
この記事でわかること
✅ 医療保険が歯科治療に対応しない理由
✅ 保険診療と自由診療の線引き
✅ インプラント・ホワイトニング・矯正は全額自己負担
✅ 通院給付金の意外な制限
医療保険は歯科治療にほぼ対応していない
「医療保険だから歯の治療も補償される」は大きな誤解
多くの人が「医療保険に加入しているから、病気やケガの治療は幅広く補償される」と思っています。
しかし、歯科治療は医療保険の給付対象外です。
なぜでしょうか?主な理由は:
①医療保険は「入院・手術」が主な給付対象
- 医療保険は、入院時の生活費や手術費用をカバーするもの
- 歯科治療は、ほとんどが外来(通院)で完結するため、対象外
②虫歯は「病気」ではなく「予防できる疾患」
- 健康保険制度でも、虫歯予防は保険外扱い
- 医療保険も同じ考え方で、虫歯治療後の予防処置は対象外
③歯科治療の自由診療の範囲が広い
- インプラント、ホワイトニング、矯正など自由診療が多い
- 保険診療と自由診療が混在するため、保険会社が対応しづらい
歯科治療で「保険診療」と「自由診療」に分かれる理由
公的健康保険との関係:保険診療と自由診療の違い
歯科治療には、公的健康保険の対象となる「保険診療」と、対象外の「自由診療」があります。
保険診療の範囲
対象となる治療:
- 虫歯の治療(金属詰め物・銀歯)
- 歯周病の治療
- 簡単な抜歯
- 入れ歯(基本的な形)
自己負担:3割(70才以下)
自由診療(保険外診療)
対象となる治療:
- インプラント(人工歯根):1本30~60万円
- ホワイトニング:5~30万円
- 歯列矯正(成人):60~120万円
- セラミック・ジルコニア製の詰め物や被せ物
- 高度な矯正治療
- ノンクラスプデンチャー(金属を使わない入れ歯)
自己負担:10割(全額自費)
なぜインプラントやホワイトニングは保険外なのか?
インプラント:
- 公的医療保険では「インプラント」と「入れ歯」の2択
- インプラントは「より高度な治療」として自由診療扱い
- ただし、先天性の歯欠損など特定の条件では保険適用される場合もある
ホワイトニング:
- 「治療」ではなく「美容目的」と判定される
- 公的医療保険が適用されないため、医療保険も対応しない
歯列矯正:
- 成人の矯正は「美容目的」と判定される
- ただし、骨格異常など医学的に必要と判定される場合は、部分的に保険適用される可能性がある
福岡県民が実際に困った「歯科治療」の事例
ケース1:親知らずの抜歯で医療保険の対応が異なった
相談者:30代男性
親知らずの抜歯が必要になりました。
一般的な抜歯(日帰り):
- 医療保険の対象外(「軽微な手術」と判定)
- 公的健康保険で3割負担、自己負担は2,000~5,000円程度
埋伏歯(埋没している歯)の抜歯(入院が必要な場合):
- 医療保険の対象になる可能性がある
- 入院が伴う場合は、入院給付金や手術給付金の対象になることもある
この相談者は「入院なし」の単純な抜歯だったため、医療保険の給付対象外でした。
教訓:歯科治療のうち、医療保険の対象になるのは、実は限定的です。ほとんどは公的健康保険で対応
ケース2:セラミック詰め物に100万円以上かかった
相談者:40代女性
奥歯の虫歯治療で、セラミック製の詰め物を勧められました。
保険診療(銀歯)の場合:
- 費用:5,000~10,000円程度
- 自己負担:3割
自由診療(セラミック)の場合:
- 費用:50,000~100,000円
- 自己負担:10割
この患者は医療保険の給付を期待していましたが、「セラミックは自由診療」として全額自己負担でした。
複数本の治療で合計100万円以上の費用が発生。医療保険からは1円も支払われませんでした。
教訓:歯科医院で「セラミック」や「高度な矯正」を勧められたら、まず「保険診療の選択肢」を確認してください
ケース3:インプラント治療で医療保険は対象外、でも医療費控除は対象に
相談者:50代女性
歯周病で複数の歯を失い、インプラント治療を受けました。
総費用:600万円
医療保険からの給付:0円(自由診療のため)
医療費控除の対象:一部対象
実は、インプラント治療は医療保険では対象外ですが、公的な「医療費控除」の対象になる場合があります。
ただし、「治療目的」と判定されることが条件なので、審査が厳しく、全額が対象になることは稀です。
教訓:医療保険は対象外でも、医療費控除の対象になる可能性を探ることが重要
通院給付金の落とし穴
多くの医療保険では「入院後の通院」のみが対象
医療保険に「通院給付金」が付いているから、毎月の歯科通院も補償されると思ったら大間違いです。
通常の通院給付金の条件:
- 「入院後の通院」が対象
- 入院なしで通院だけした場合は対象外
- 退院後120日以内の通院が対象となる商品が多い
つまり:
- 定期的な虫歯治療の通院 → 対象外
- リハビリのための通院 → 入院に伴う場合のみ対象
- 骨折後の通院治療 → 入院に伴う場合のみ対象
具体例:通院給付金があるのに使えなかった
相談者:60代男性
医療保険に「通院給付金」が付いていたため、「骨折治療の通院も補償される」と思いました。
実際に転んで足の骨を折り、入院せずに外来で治療を続けることになりました。
約3ヶ月間、週2~3回通院しましたが、「入院を伴わない通院」のため、通院給付金は1円も支払われませんでした。
教訓:「通院給付金」は見かけ以上に制限がある
保険診療と自由診療の「混合診療」は認められない
「自由診療を選んだら、保険診療部分も自費になる」という落とし穴
歯科治療では時々「保険診療と自由診療を混ぜて治療したい」という希望が出ます。
例えば:
- 前歯:セラミック(自由診療)
- 奥歯:銀歯(保険診療)
このような「混合診療」を選ぶと、実は保険診療部分も全額自費(自己負担)になってしまいます。
ルール:自由診療を1つ選ぶと、その治療に関連する部分の保険診療も全て自費扱いになる
つまり、セラミック詰め物で前歯を治療すると、その前歯に関わる診察や検査も全て自費になるのです。
歯科医院選びのポイント
福岡は保険診療と自由診療の両方を提供する歯科医院が多い
福岡には、保険診療と自由診療の両方に対応した歯科医院が多くあります。
歯科医院を選ぶ際のポイント:
事前に確認すべきこと:
- 保険診療の扱い(保険診療を基本としているか)
- 自由診療の費用(明確な価格表示があるか)
- 保険診療か自由診療かの選択肢の説明があるか
NG例:
- 「セラミックにしましょう」と一方的に勧める
- 保険診療の選択肢を提示しない
- 費用について詳しい説明がない
医療保険と歯科治療費:本当に必要な備えは?
医療保険では歯科治療はカバーできない
医療保険で歯科治療をカバーできないため、以下の方法で対策しましょう:
①貯蓄で備える
虫歯治療は予防できます。定期的なメンテナンスで大きな治療を避けることが重要です。
一般的な歯科治療費:
- 虫歯治療:5,000~30,000円
- インプラント:30~60万円/本
- 矯正:60~120万円
月5,000円程度の貯蓄で、緊急時にも対応できます。
②医療費控除を活用する
年間の医療費が10万円を超えた場合、医療費控除を申告することで、所得税の還付を受けられます。
対象となる可能性のある歯科治療:
- 虫歯・歯周病の治療
- 矯正治療(医学的に必要と判定された場合)
- インプラント(治療目的と判定された場合)
対象外の歯科治療:
- ホワイトニング(美容目的)
- 成人の矯正(多くの場合、美容目的と判定)
③歯科医院での定期メンテナンス
「予防」に勝る対策はありません。
3ヶ月ごとのクリーニングと定期検診で、虫歯や歯周病の早期発見が可能です。
まとめ:医療保険では歯科治療はカバーできない
医療保険の落とし穴の中でも、特に大きいのが「歯科治療」です。
🔴 医療保険は歯科治療に対応していない
🔴 インプラント・ホワイトニング・矯正は全額自費
🔴 自由診療を選ぶと、保険診療部分も自費になる可能性
🔴 通院給付金は「入院後の通院」のみが対象
歯科治療は医療保険ではなく、公的健康保険と貯蓄で対応することが基本です。
執筆者プロフィール
独立系ファイナンシャルプランナー
福岡県在住。年間300件以上の保険・資産運用相談を受け付け、顧客の「本当に必要な保障」を一緒に考えます。



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